住宅ローンの繰り上げ返済はどのタイミングでやればいいの?デメリットや注意点も解説

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ローン関係

・繰り上げ返済はどのタイミングでやればいいのだろう
・繰り上げ返済の金額っていくらがいいのだろう
・退職後まで借金を残したくないから早めに繰り上げ返済をしたい

こんな悩みを解決できる記事を用意しました。

この記事の結論はこちら

 

・住宅ローン繰り上げ返済のタイミングは「住宅ローン控除の控除期間が終わった時」や 「借入金利が上昇してしまう前」 、「大きな出費のいるライフイベントが当分ない時」などで検討するのがおすすめ

 

・繰り上げ返済する際は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの返済方法から選択する

 

利息を少しでも減らしたい、完済時期を早めたい人は「期間短縮型」、 毎月返済額に不安がある方、金利上昇に備えたい方は「返済額軽減型」

 

・繰り上げ返済をやらない方が良い時は、「生活防衛資金が貯まっていない」や「子供の教育費がかかる 」、「数年以内の車買い替え等の大きなライフイベントある」になります。

繰り上げ返済を行うには返済期間を短くする「返済期間短縮型」、毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」の2種類の方法があります。

この記事でご紹介する繰り上げ返済を行うコツやポイントを押さえて、注意点を確認しながら実践すれば、 住宅ローンに詳しくない方でも簡単にできますよ。

私のお客様もメリットを感じて繰り上げ返済をされて方は多くいらっしゃいます。
記事前半では繰り上げ返済をした方が良い理由やメリット・デメリット等を、後半では注意点やよくある質問を解説するので、じっくり読み込んで頂ければと思います。

モゲチェック 住宅ローン 借り換え 借り入れ 金利

  1. 繰り上げ返済をした方が良い理由:3選
    1. 今後支払う利息が軽減されるから
    2. 住宅ローン借入金利が高いほど利息軽減メリットが大きいため
    3. 借入当初は利息が多いため(元利均等返済の場合)
  2. 繰り上げ返済を行うメリット:2選
    1. メリット①:返済期間の短縮、毎月返済額が軽減される
    2. メリット②:繰り上げ返済時、支払った保証料が返ってくることも
  3. 繰り上げ返済を行うデメリット:3選
    1. デメリット①:現在低金利で借入しており、メリットが出ないことも
    2. デメリット②:繰り上げ返済時に手数料が発生することも
    3. デメリット③:現金預金がなくなるため、急なライフイベントの発生に対応できなくなることも
  4. 繰上げ返済をする際の条件:2選
    1. 条件①:家計に余裕があるとき
    2. 条件②:住宅ローン控除が終わっているかどうか
  5. 繰上げ返済を行う方法、おすすめタイプ
    1. 期間短縮型って何?
    2. 返済額軽減型って何?
    3. 期間短縮型がおすすめな人
    4. 返済額軽減型がおすすめな人
  6. 繰り上げ返済の注意点:5選
    1. 注意点①:手数料の発生有無に注意
    2. 注意点②:一部繰り上げ返済の最低額に注意
    3. 注意点③:団体信用生命保険のメリット縮小も
    4. 注意点④:住宅ローン控除残年数に注意
    5. 注意点⑤:繰り上げ返済検討時期と利息軽減メリットは反比例する
  7. 繰り上げ返済時のよくある質問:7選
    1. 住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済はしても良いの?
    2. 期間短縮型と返済額軽減型、結局どっちが良いの?
    3. 繰り上げ返済時の手数料っていくらかかるの?
    4. 繰り上げ返済をやらない方がいい時ってどんな時?
    5. 繰り上げ返済を検討するタイミングっていつ?
    6. 繰り上げ返済を毎年コツコツか、数年後まとめてか、どっちが得?
    7. 住宅ローン借入時に自己資金(頭金)を入れるのと、後から繰り上げ返済をするのはどっちか良い?
  8. まとめ:住宅ローンの繰り上げ返済はどのタイミングでやればいいの?

繰り上げ返済をした方が良い理由:3選

繰り上げ返済を行うメリットやデメリットを確認する前に、なぜ繰り上げ返済を行う方が良いのか確認しておきましょう。

繰り上げ返済をした方が良い理由として以下の3つをご紹介します。

 

・今後支払う利息が軽減されるから

 

・住宅ローン借入金利が高いほど利息軽減メリットが大きいため

 

・借入当初は利息が多いため(元利均等返済の場合)

今後支払う利息が軽減されるから

繰り上げ返済をした方が良い大きな理由の一つです。

住宅ローンを借入すると低金利の現在といえ、借入額が大きいため、多くの利息を支払うこととなります。 これが金利も高ければより多くの利息負担となります。

そのため住宅ローン返済中に元金の一部(または全部)を前倒しして返済してそう返済額を減らす方法が繰り上げ返済となります。

住宅ローン借入金利が高いほど利息軽減メリットが大きいため

繰り上げ返済は借入金利が高ければ高いほど、利息軽減メリットが大きくなります。

下記2つの借入ケースを比較してみました。

例)A:借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済無 繰り上げ返済500万円を5年後に
総支払額62,260,997円 60,066,121円
総利息12,260,997円 10,066,121円
利息差額2,194,876円
繰り上げ期間48回(4年分)短縮

例)B:借入金額5,000万円、借入金利1.6%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済無 繰り上げ返済500万円を5年後に
総支払額65,332,109円 62,516,562円
総利息15,332,109円 12,516,562円
利息差額2,815,547円
繰り上げ期間50回(4年2ヶ月分)短縮

AとBの金利差は0.3%ですが、Aだと約219万円の利息軽減に対してBは約281万の利息軽減メリットがあります。 差額は62万です。たった0.3%違うだけで60万円超も利息軽減に繋がるため、いかに金利が影響するか感じていただけるかと思います。 ちなみにAとBを同じタイミングで繰り上げ返済をしても総利息差は約245万円の差があることが分かります。 こちらも軽視できない金額となってます…

借入金利が高い方は特に繰り上げ返済を頭に入れてライフプランを設計すると良いですね。

借入当初は利息が多いため(元利均等返済の場合)

繰り上げ返済は早期実施がメリットが高いです。

毎月返済額の内訳は元金と利息ですが、支払い開始当初は利息部分の割合が多いです。
つまり早めに繰り上げ返済を行うと、利息が多い部分を減らすことができるということになります。

下記2つの借入ケースを比較してみました。

例)借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済額       500万円
繰り上げ時期返済開始から1年後 返済開始から5年後
総支払額59,692,699円   60,066,121円
総利息9,692,699円     10,066,121円
利息差額373,422円
繰り上げ期間51回(4年3ヶ月分)  48回(4年分)

上記同じ繰り上げ返済額で借入から1年目と5年目の繰り上げ返済の差額が約40万円になります。
同額の繰り上げ返済で約40万円違うのは大きな差ですね。

ここでの注意点は「住宅ローン控除の適用」です。こちらに関しては本記事下段でご紹介もしておりますので、詳細はそちらをご確認頂ければと思います。

繰り上げ返済を行うメリット:2選

繰り上げ返済を行うと利息が軽減されます。その他にも返済期間の短縮、毎月返済額の削減や保証料が返ってくるメリットを確認しておきましょう。

繰り上げ返済を行う際のメリットを2つご紹介します。

 

メリット①:返済期間の短縮、毎月返済額が軽減される

 

メリット②:繰り上げ返済時、支払った保証料が返ってくることも

メリット①:返済期間の短縮、毎月返済額が軽減される

繰り上げ返済の最大のメリットは、当初よりも支払い期間が短縮出来たり、毎月返済額が軽減される点です。

現金を充当することで住宅ローンとして支払うべきだった元金を支払うことになり利息部分も減らすことができます。 その際に返済期間を短縮することや毎月の返済額を軽減することが可能となります。
私のお客様も教育費が終わったタイミングで繰り上げ返済を行い、返済期間を5年短縮されました。

住宅ローンをスムーズに返済するためには最大のメリットを有効活用しましょう。

メリット②:繰り上げ返済時、支払った保証料が返ってくることも

繰り上げ返済をする際、当初支払った保証料(前払い型)の一部が返ってくることがあります。
この保証料は、住宅ローンが返済不可になった際に肩代わりして一括返済を行うことの費用です。
基本的に住宅ローンを組む際には保証会社へ保証料を支払います。

保証会社へ保証料を支払う方法は、住宅ローン契約時に一括で支払う「前払い型」と住宅ローン金利に保証料を上乗せして支払う「金利上乗せ型」の2種類があります。
繰り上げ返済時に保証料が返ってくるのは一括で支払う「前払い型」のみになります。

返ってくる保証料の計算式は各保証会社で異なりますが、繰り上げ返済で完済時期が早まると返ってくる保証料も大きくなる傾向になります。

返ってくる保証料の金額大小で繰り上げ返済を計画する訳ではないと思いますが、ひとつのメリットとして覚えておきましょう。

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繰り上げ返済を行うデメリット:3選

繰り上げ返済を行うのに良いことばかりではありません。しっかりデメリットも確認して場合によっては対策をした上で繰り上げ返済を行うようにしましょう。

繰り上げ返済を行う際のデメリットを3つご紹介します。

 

デメリット①:現在低金利で借入しており、メリットが出ないことも

 

デメリット②:繰り上げ返済時に手数料が発生することも

 

デメリット③:現金預金がなくなるため、急なライフイベントの発生に対応できなくなることも

デメリット①:現在低金利で借入しており、メリットが出ないことも

低金利で借入をされている場合、繰り上げ返済の効果が出にくいことがあります。

例)A:借入金額3,000万円、借入金利0.4%、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済10年後に300万円
総支払額32,153,753円31,861,475円
総利息2,153,753円1,861,475円
利息差額292,278円

例)B:借入金額3,000万円、借入金利0.8%、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済10年後に300万円
総支払額34,405,447円33,793,867円
総利息4,405,447円3,793,867円
利息差額611,580円

上記のように低金利だと繰り上げ返済を行うことによる効果はあまり大きくありません。 また借入金利が0.4%違うだけで利息軽減メリットは2倍の違いになります。

私のお客様でも「まとまったお金が出来たタイミングで都度繰り上げ返済をするのはどうか」とご質問頂きます。 低金利の変動金利で借入をされているのであれば現在は貯蓄に回しておいて、金利上昇のタイミング等で繰り上げ返済をされることをおすすめしております。 一方、繰り上げ返済を行うと毎月の返済額や返済期間を短縮できるメリットももちろんあります。

低金利で借入されている家計こそ、家計収支のバランスと貯蓄を考えながらタイミングを検討する必要がありますね。

デメリット②:繰り上げ返済時に手数料が発生することも

ある程度資金目処がついた時に都度返済しようと考えている方、特に注意です。
繰り上げ返済を行う際は各金融機関に事前確認をしましょう。

繰り上げ返済の手続きは金融機関窓口や電話対応、ネット等、色々な方法が可能です。 基本的にはネット以外の手続き方法を選択すると手数料が発生してしまいます。

参考)広島銀行の繰り上げ返済手数料

店頭受付インターネットバンキング受付
固定金利選択中55,000円無料
上記以外11,000円無料
※50万円以上から

せっかく貯蓄した資金の一部が少額といえ手数料がかかるのはもったいないと思いませんか?

詳細は各金融機関で異なりますので、是非一度確認して最善の方法で繰り上げ返済を行いましょう。

デメリット③:現金預金がなくなるため、急なライフイベントの発生に対応できなくなることも

各家庭のライフイベントも見据えた繰り上げ返済を行うようにしましょう。

繰り上げ返済を行うには現金預金が減るというリスクが発生します。 ライフイベント(車の購入や教育費、旅行等)とリスク管理をしておかないと急な出費に対応ができなくなります。
住宅ローンの利息軽減や返済期間短縮は家計に大きなメリットですが、収入減等にも対策できる十分な貯金をした上で行うようにしましょう。

家計も心もゆとりを思った返済計画をおすすめします。

繰上げ返済をする際の条件:2選

ここでは繰り上げ返済を行う際の条件について確認しておきましょう。対象でなければ各自シュミレーションしてみて計画していきましょう。

繰り上げ返済を行う際の条件を2つご紹介します。

 

条件①:家計に余裕があるとき

 

条件②:住宅ローン控除が終わっているかどうか

条件①:家計に余裕があるとき

繰り上げ返済を行うには家計に資金余裕があるときが条件となります。

では家計の資金余裕とは何でしょうか?

①生活防衛資金が貯まっている
病気や怪我、失業により働けなくなった際など、いざというときに必要となるお金を備えておく積立金になります。 サラリーマンの方だと生活費の半年分、自営業者の方だと1年分を確保する必要があると言われております。

②子供の教育費が貯まっている、目処がたっている

③数年以内の車買い替え等の大きなライフイベントがない

上記3つの資金を確保できていたり、見通しが立っている場合は繰り上げ返済をしても良いと思います。

繰り上げ返済をした結果貯金不足により、住宅ローンより金利の高いフリーローンを組まないといけないような事態は避けるようにしましょう。

条件②:住宅ローン控除が終わっているかどうか

繰り上げ返済をする際は住宅ローン控除への影響に気をつけましょう。

住宅ローン控除(減税)は要件を満たすと借入の年末残高に対して住民税と所得税が一定額、一定期間控除される制度です。
繰り上げ返済を行うと総返済額が減ってしまうため、住宅ローン控除を最大限活用できなくなることもあります。

不安な方は控除期間が終了してから繰り上げ返済を行うか、各金融機関へ試算相談をしてみましょう。

繰上げ返済を行う方法、おすすめタイプ

繰り上げ返済を行う際には期間短縮型と返済額軽減型の2つの方法から選択する必要があります。そぞれに特徴がありますので、しっかり確認して各家計に合う返済方法を選択するようにしましょう。

繰り上げ返済を行う方法とおすすめタイプについてご紹介します。

 

期間短縮型って何?

 

返済額軽減型って何?

 

期間短縮型がおすすめな人

 

返済額軽減型がおすすめな人

期間短縮型って何?

期間短縮型とは、毎月返済額を変えず返済期間を短くする方法です。

期間短縮型のメリットは下記になります。
・返済期間を短縮できる
・利息軽減メリットが(返済額軽減型に比べて)大きい

期間短縮型のデメリット
・毎月返済額は変わらない

期間短縮型で繰り上げ返済を行なった場合のシュミレーション

例)A:借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済額200万円繰り上げ方法:期間短縮型
(借入開始から)利息軽減額繰り上げ期間
5年後繰り上げ返済 約89万円1年7ヶ月
10年後繰り上げ返済約72.2万円1年6ヶ月
15年後繰り上げ返済約55.9万円1年5ヶ月
20年後繰り上げ返済約40.4万円1年4ヶ月

借入金額、借入期間等を同条件で 繰り上げ返済方法を返済額軽減型にしてみると…

繰り上げ返済額200万円繰り上げ方法:返済額軽減型
(借入開始から)利息軽減額
5年後繰り上げ返済 約41.6万円
10年後繰り上げ返済約34.3万円
15年後繰り上げ返済約27.2万円
20年後繰り上げ返済約20.2万円

上記のように2つの返済方法を比較すると期間短縮型の方がより多くの利息軽減メリットにつながっていることが分かります。

期間短縮型は返済期間を短くすることができるため、定年までに住宅ローンを完済させたい場合は期間短縮型を選ぶことをおすすめします。

返済額軽減型って何?

返済額軽減型とは、返済期間を変えずに毎月返済額を軽減する方法です。

返済額軽減型のメリットは下記になります。
・毎月の返済額を軽減することができる

返済額軽減型のデメリット
・返済期間は変わらない
・利息軽減メリットが(期間短縮型に比べて)小さい

下記、期間短縮型で繰り上げ返済を行なった場合のシュミレーションとなります。

例)A:借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

毎月返済額利息軽減額
当初148,241円
繰り上げ返済額200万円繰り上げ方法:返済額軽減型
(借入開始から)
5年後繰り上げ返済 141,529円(-6,712円)約41.6万円
10年後繰り上げ返済140,429円(-7,812円)約34.3万円
15年後繰り上げ返済138,773円(-9,468円)約27.2万円
20年後繰り上げ返済136,006円(-12,235円)約20.2万円

期間短縮型のように利息軽減メリットが大きいわけではありませんが、毎月の返済額が下がるのは家計に余裕が生まれる良い点ですね。

ライフプランの変更などで子供の教育費や生活費が負担アップした方にはおすすめです。

期間短縮型がおすすめな人

期間短縮型がおすすめな人は下記3点に当てはまる人です。

・少しでも利息を払いたくない方
「期間短縮型って何?」の試算結果から、借入から5年後に200万円を繰り上げ返済することで約89万円も利息を削減できることが分かります。 「利息が嫌いな方」や「利息を少しでも減らしたい方」にはおすすめです。

・住宅ローンの支払いが退職後まで続くのが収入面で不安な方
住宅ローンの完済時期が、定年退職以降であったり、自営業の方だと返済不安・収入不安の声も聞いたりします。 働いている期間にお金を貯めながら繰り上げ返済を行うことで、定年までの返済計画にしていくことも可能です。 定年後、老後の収入、生活の不安がある方は期間短縮型がおすすめです。

・収支にゆとりがあり、毎月返済額に不安がない方
収支にゆとりのある家計であれば、毎月返済額をそこまで気にするこはないと思います。 繰り上げ返済を行う場合も、期間短縮型を選択する方が利息を減らしていくことができるので、 毎月の返済額に不安がなく生活収支もゆとりがある場合は、期間短縮型をおすすめします。

上記3点いずれかに該当する方は期間短縮型を検討されると良いでしょう。

返済額軽減型がおすすめな人

返済額軽減型がおすすめな人は下記3点に当てはまる人です。

・毎月の家計収支バランスが崩れてきた方
毎月の家計収支がいつもプラスであるわけではありません。 子供の習い事等による教育費が増えたり、転職等で収入が減ったりすることもあると思います。 生活の変化により毎月の返済額が負担になっている家計も多いと思います。 このように毎月の収支バランスが崩れそうな方は返済額軽減型をおすすめします。

・ライフプランに変更が必要と感じる方
住宅ローンを組む際と住宅ローンを支払っていく中で親と同居するようになったり子供の数が増えたり、と家庭の変化が起こる方も少なくないと思います。その中で毎月の支出が増えていき、生活負担増になっていく声をよく聞きます。 このような場合も、返済額軽減型の繰り上げ返済を利用し毎月返済額を下げる方法をおすすめします。

・金利変動で毎月返済額が増えてしまう方
住宅ローン借入金利を変動金利や当初固定金利を選択されている方は将来的な金利上昇リスクを抱えていると思います。 実際、金利上昇してしまうと毎月の返済額が増えてしまうことになります。 変動金利や当初固定金利を選択されている方は金利上昇リスク対策で繰り上げ返済できる資金の確保、金利上昇前の返済額になるよう調整できる返済額軽減型をおすすめします。

上記3点いずれかに該当する方は返済額軽減型を検討されると良いでしょう。

繰り上げ返済の注意点:5選

繰り上げ返済を行う際のよくある注意点をまとめて見ました。これから繰り上げ返済を計画する方はぜひ参考にしてください。

繰り上げ返済時の注意点を以下の5つご紹介します。

 

注意点①:手数料の発生有無に注意

 

注意点②:一部繰り上げ返済の最低額に注意

 

注意点③:団体信用生命保険のメリット縮小も

 

注意点④:住宅ローン控除残年数に注意

 

注意点⑤:繰り上げ返済検討時期と利息軽減メリットは反比例する

注意点①:手数料の発生有無に注意

繰り上げ返済を行う場合に手数料がかかる場合があります。

「繰り上げ返済を行うデメリット:3選」でもお伝えさせて頂きましたが、 せっかく貯めたお金から手数料が引かれるのはもったいないです。

繰り上げ返済の仕方として、可能であれば手数料が発生しない方法を選択するよにしましょう。

わからない方は借入している金融機関のHPから調べるか、問い合わせてみましょう。

注意点②:一部繰り上げ返済の最低額に注意

各金融機関によって、繰り上げ返済の最低額が異なります。

1円〜、10万円〜などそれぞれ最低額に違いがあります。 ちなみに広島銀行は50万円以上からとなっております。 一度借入の金融機関の最低額を確認することをおすすめします。

「10万円貯まったから繰り上げ返済しようと思ったら最低額30万円からだったのでできなかった…」 なんてことが起きないように。

注意点③:団体信用生命保険のメリット縮小も

繰り上げ返済でローン残高が減ると団体信用生命保険の保障額も減ります。

各金融機関では住宅ローンと合わせて団体信用生命保険への加入義務があります。 この団体信用生命保険は加入者が亡くなったり、所定の高度障害になった場合にローン残高を保障する保険です。 がんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)等の特約をつけることもできます。 この団体信用生命保険はローン残高を保障するため、繰り上げ返済を行うとローン残高が減るため、結果的に団体信用生命保険の保障額が減るわけです。 つまり繰り上げ返済直後に加入者が亡くなった場合、ローン残高分は保障されますが、繰り上げ返済にあてたお金は返ってこないということになります。

繰り上げ返済計画に万が一のケース(団体信用生命保険を利用するかも)も加えて検討することをおすすめします。

注意点④:住宅ローン控除残年数に注意

住宅ローン控除を受けている間に繰り上げ返済で期間短縮型を選択する際は要注意です。

「繰上げ返済をする際の条件:2選」では年末残高についてご案内させて頂きましたが、今回は返済期間です。 住宅ローン控除の要件の中に返済期間が10年以上という条件があります。 繰り上げ返済で借入期間を短くする期間短縮型を選択する場合に、住宅ローン控除を受けており、借入期間が10年未満になる場合、 控除を受けれなくなる可能性があります。

住宅ローン控除を利用されている方は事前に
①繰り上げ返済後の返済期間
②繰り上げ返済後に住宅ローン控除が利用可能か
を金融機関、税務署に相談しておきましょう。

注意点⑤:繰り上げ返済検討時期と利息軽減メリットは反比例する

繰り上げ返済を行う時期が(借入から)早ければ早いほど利息軽減メリットが大きいです。
また繰り上げ返済を行う時期が(借入から)遅くなるほど、メリットは小さくなります。

例)借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済額200万円繰り上げ方法:期間短縮型
(借入開始から)利息軽減額繰り上げ期間
5年後繰り上げ返済 約89万円1年7ヶ月
10年後繰り上げ返済約72.2万円1年6ヶ月
15年後繰り上げ返済約55.9万円1年5ヶ月
20年後繰り上げ返済約40.4万円1年4ヶ月

上記のように借入開始から5年後と15年後では約33.1万円の差が開きます。 5年後と20年後では約2倍の開きですね…

各家庭のライフプラン、ライフイベントがありますので、あくまで参考に。
ですが、家計にゆとりが出てくると一度試算してみても良いかもしれませんね。

繰り上げ返済時のよくある質問:7選

繰り上げ返済を検討している方々からよく頂く質問をまとめて見ました。これから繰り上げ返済を計画する方はぜひ参考にしてください。

繰り上げ返済時によく頂く質問を下記7つでご紹介します。

 

住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済はしても良いの?

 

期間短縮型と返済額軽減型、結局どっちが良いの?

 

繰り上げ返済時の手数料っていくらかかるの?

 

繰り上げ返済をやらない方がいい時ってどんな時?

 

繰り上げ返済を検討するタイミングっていつ?

 

繰り上げ返済を毎年コツコツか、数年後まとめてか、どっちが得?

 

住宅ローン借入時に自己資金(頭金)を入れるのと、後から繰り上げ返済をするのはどっちか良い?

住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済はしても良いの?

これは今の住宅ローンの借入金利や住宅ローン控除の控除率がポイントとなります。

例えば借入金利が1%で住宅ローン控除率が0.7%の場合、借入金利が控除率を上回るため、繰り上げ返済をした方がメリットがある場合が多いです。逆に借入金利が0.5%で住宅ローン控除率が0.7%の場合だと繰り上げ返済は見送る方がメリットがあるケースが多いです。
住宅ローン控除は納めている所得税、住民税が控除対象のため、場合によっては控除額が少なく、借入金利が控除率を上回っていても繰り上げ返済をするメリットがあります。

住宅ローン控除期間中は特に、しっかりシュミレーションを行い試算した上で、繰り上げ返済を行うようにしましょう。

期間短縮型と返済額軽減型、結局どっちが良いの?

せっかく繰り上げ返済を行うなら各家庭に合う返済方法を選ぶことが大切です。

大きなポイントは2つです。
・利息を少しでも減らしたい、完済時期を早めたい人は期間短縮型

・毎月返済額に不安がある方、金利上昇に備えたい方は返済額軽減型

ライフプランやライフイベントの変化で必ずこちらの返済方法で、というものはありません。
家計収支や金利上昇等の経済状況に合わせて選択できる知識武装をしておきましょう。

繰り上げ返済時の手数料っていくらかかるの?

繰り上げ返済時は各金融機関で手数料がかかるケースがあります。

参考)広島銀行の繰り上げ返済手数料

店頭受付インターネットバンキング受付
固定金利選択中55,000円無料
上記以外11,000円無料
※50万円以上から

各金融機関で繰り上げ返済方法によって手数料の発生有無も異なります。
事前に確認しておいて無駄な手数料を支払わないようにしましょう。

繰り上げ返済をやらない方がいい時ってどんな時?

繰り上げ返済をやらない時は下記3つのお金が貯まっていない時です。

①生活防衛資金
サラリーマンの方:生活費の半年分
自営業者:生活費の1年分

②子供の教育費

③数年以内の車買い替え等の大きなライフイベント

上記3つへのお金が確保できていなかったり、見通しが立っていない場合は繰り上げ返済はやめておき、 万が一に備える手元資金を作ることを最優先にしましょう。

繰り上げ返済を検討するタイミングっていつ?

繰り上げ返済を検討するタイミングは下記3点です。

・住宅ローン控除の控除期間が終わった時
住宅ローンの控除期間中の繰り上げ返済は、残高や借入期間などに注意する必要がありました。
控除期間終了後は利息を減らすデメリットはないため、繰り上げ返済を行うタイミングと思います。

・借入金利が上昇してしまう前
住宅ローン借入金利を変動金利や当初固定金利を選択されている方が対象です。
金利が低い時は繰り上げ返済せずにお金を貯めておき、金利上昇前のタイミングで繰り上げ返済すると効果的に利息を削減することができます。

・大きな出費のいるライフイベントが当分ない時
子供の独立や老後の生活資金の確保ができたときなど、お金が貯まっているときは繰り上げ返済を考えても良いでしょう。 その際、定年の時期も考慮できると年金生活をより安心に暮らせますね。

繰り上げ返済を毎年コツコツか、数年後まとめてか、どっちが得?

繰り上げ返済は早めに行う方が利息軽減のメリットは大きいです。
これは金額が少額でも同じことと言えます。

下記表は毎年100万円を5年間繰り上げ返済したものと、 5年後に500万年を繰り上げ返済したものの比較をしたものになります。

例)借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

繰り上げ返済額返済開始から5年間(100万円/年) 返済開始から5年後に500万円
総支払額59,880,499円         60,066,121円
総利息9,880,499円           10,066,121円
利息差額185,622円
繰り上げ期間49回(4年1ヶ月分)        48回(4年分)

どちらも計500万円を繰り上げ返済したことには変わりませんが、毎年繰り上げ返済を行う方が約18.5万円利息軽減メリットが大きいことが分かります。

結局、5年後にまとめて500万円繰り上げ返済してまうとそれまでの毎月の返済額には利息も含まれているので、少額でも繰り上げ返済用預金が貯まった段階で繰り上げ返済をすることおすすめします。
また、複数回繰り上げ返済を行う場合は手数もしっかり確認しておきましょう。

住宅ローン借入時に自己資金(頭金)を入れるのと、後から繰り上げ返済をするのはどっちか良い?

繰り上げ返済のタイミングによっては頭金で入れるより繰り上げ返済をする方が利息が減るケースもあります。

自己資金を頭金として入れると借入額は少なくできるため、返済額を減らすことができます。 一方、住宅購入によるライフスタイルの変化で固定費(生活費など)の増加などの不安がある方も多くいます。 そういう方は自己資金を頭金として入れるのか、生活が慣れた後に繰り上げ返済をするのが良いのか悩まれています。

下記、試算してみると条件によっては繰り上げ返済で自己資金を入れる方がお得になるケースもあります。

例)借入金額5,000万円、借入金利1.3%(全期間固定金利)、借入期間35年、元利均等返済

頭金300万円0円
借入金額4,700万円5,000万円
毎月返済額139,346円148,241円
繰り上げ返済5年後に300万円
総支払額58,525,583円57,884,537円
総利息11,525,583円10,884,537円
利息差額641,046円
繰り上げ期間30回(2年6ヶ月分)

これだと不安なまま頭金で手元資金を無くすのではなく、生活が落ち着いてから繰り上げ返済をするのも手だと思います。 あくまで優先なのは生活スタイルの確立や家計収支の把握です。

無理なく返済できるような計画を立てていきましょう。

まとめ:住宅ローンの繰り上げ返済はどのタイミングでやればいいの?

最後にこの記事の重要な部分をまとめます。

住宅ローン繰り上げ返済のタイミングは「住宅ローン控除の控除期間が終わった時」や 「借入金利が上昇してしまう前」 、「大きな出費のいるライフイベントが当分ない時」などで検討するのがおすすめ

繰り上げ返済する際は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの返済方法から選択する

利息を少しでも減らしたい、完済時期を早めたい人は期間短縮型
毎月返済額に不安がある方、金利上昇に備えたい方は返済額軽減型

繰り上げ返済をやらない方が良い時は、「生活防衛資金が貯まっていない」や「子供の教育費がかかる 」、「数年以内の車買い替え等の大きなライフイベントある」になります。

繰り上げ返済の返済方法選択やタイミングなど各家計でしっかり確認した上でやっていきましょう。

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