「変動金利って怖くないですか?」
「金利が上がったらどうするのですか?」
「固定金利と何が違うのですか?」
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事でご紹介する「変動金利の仕組みと特徴」と「変動金利を組むメリット、デメリットついて」を理解して、「変動金利の向き不向き、変動金利を組む注意点、対策方法」に注意すれば、変動金利で住宅ローンを組むことはさほど難しくはありません。
実際に私も私のお客様の多くは変動金利の仕組み等を理解して、住宅ローン借り換え時は変動金利を選択されています。
記事前半では変動金利の仕組みや特徴、メリット、デメリット等を、後半では変動金利の向き不向きや注意点、対策方法等を解説するので、じっくり読み込んでください。
①元利均等返済
元金と利息の合計が一定の金額となる返済方法
②元金均等返済
元金が毎月一定の金額になり、そこに利息が加わった金額が毎月の返済金額になる返済方法
・さらに元利均等返済には2つのルール
①5年ルール
金利上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない
②125%ルール
金利上昇の際の1回の上昇幅を最大125%までに規制する
※元金均等返済は上記2つのルールがないため、急激な返済額増額に注意が必要
・指標となるレートが異なるため金利変動時の借り換え検討は注意が必要(変動金利が遅れて上昇する)
変動金利:短期プライムレート(半年に1度金利見直し)
固定金利:長期プライムレート(毎月金利見直し)
・リスクヘッジが取れていて金利動向をチェックできる方は返済スピードが固定金利に比べて早いので変動金利をおすすめ
- 変動金利の仕組みと特徴について
- 変動金利を組むメリット、デメリットついて
- 変動金利の向き不向き、変動金利を組む注意点、対策方法について
- 変動金利が向いている人の特徴5選①総返済額を抑えたい人
- 変動金利が向いている人の特徴5選②返済期間が短い人
- 変動金利が向いている人の特徴5選③金利上昇による返済負担増に備える資金がある人
- 変動金利が向いている人の特徴5選④金利動向のチェックが得意な人
- 変動金利が向いている人の特徴5選⑤計画的に繰り上げ返済の計画がある人
- 変動金利が向いていない人の特徴3選①金利動向のチェックが苦手な人
- 変動金利が向いていない人の特徴3選②返済期間が長い人
- 変動金利が向いていない人の特徴3選③計画的な繰り上げ返済が苦手な人
- 変動金利を組む際の注意点3選①元利均等返済では、元金・利息の繰り延べに注意
- 変動金利を組む際の注意点3選②元金均等返済では大幅な支払額アップに注意
- 変動金利を組む際の注意点3選③長期の借入に対するリスクヘッジを考えておく
- 変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選①早期の返済計画計を立てて繰り上げ返済を行う
- 変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選②借入金額を抑える
- 変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選③金利動向をチェックして借り換えを検討する
- 住宅ローンを変動金利で組む
- 変動金利、固定金利比較参考シュミレーション
- まとめ
変動金利の仕組みと特徴について
まずは住宅ローンで変動金利を組む際に変動金利の仕組みと特徴を理解しておきましょう。
またすでに変動金利で住宅ローンを組んでいる方も今回再確認しておきましょう。
金利は3つのタイプ
変動金利型、当初固定期間選択型、全期間固定金利型
〈変動金利の返済方法について〉
返済方法①:元利均等返済
返済方法②:元金均等返済
〈元利均等返済時の2つのルール〉
ルール①:5年ルールとは
ルール②:125%ルールとは
〈変動金利の決め方:短期プライムレートとは〉
住宅ローン金利の選択について
住宅ローン金利は3つに分かれます。
変動金利型、当初固定期間選択型、全期間固定金利型です。
変動金利は半年に1度、金利が見直しされるタイプです。
3つの中では一番金利水準が低いです。
また金利見直し時に、金利が上がれば返済額も増えてしまいます。
当初固定期間選択型は、一定期間(3年、5年、10年等)金利が固定されるタイプです。
期間終了後は、期間終了時の金利相場で固定金利か変動金利か選択します。
全期間固定金利よりは金利は低いです。
一定期間中は金利上昇に影響を受けませんが、期間終了後に金利上昇していると返済額は増えてしまいます。
全期間固定金利型は、完済されるまで借入時の金利が変わらないタイプです。
3つの中で一番金利が高いです。
返済中に金利上昇があっても返済額は変わらないので、返済計画が立てやすいです。
ライフプランを計画する上で、それぞれの特徴やメリット、デメリットを理解して選択するようにしましょう。
変動金利について
住宅ローンの借り換えや新規借入でも、多くの方が選択されるのが変動金利です。
変動金利は借入期間中の金利が変動するタイプで半年に1度、借入金利が見直しされます。
また変動金利は固定金利と違い、返済方法を選択したり、細かいルールを理解する必要がありますので注意が必要です。
元金と利息の合計が一定の金額となる返済方法
②元金均等返済
元金が毎月一定の金額になり、そこに利息が加わった金額が毎月の返済金額になる返済方法
金利上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない
②125%ルール
金利上昇の際の1回の上昇幅を最大125%までに規制する
それぞれの詳細は下記で説明しておりますので、確認して下さい。
変動金利は低金利が魅力的で多くの方が選択されますが、上記の返済方法やルールに注意するようにしましょう。
返済方法①:元利均等返済
元利均等返済とは、元金と利息の合計が一定の金額となる返済方法です。
毎月の返済額が8万円とした場合、内訳は7万円が元金、1万円が利息といったイメージです。
元利均等返済の場合、返済当初の毎月支払額の内訳は元金より利息が多く、完済に近づくにつれて利息より元金の方が多くなります。
例えば…
借入金額 | 3,000万円 | ||
借入金利 | 0.675% | 変動金利 | |
借入期間 | 35年 | ||
毎月支払額内訳 | 元金 | 利息 | 総額 |
1年目 | 63,342円 | 16,874円 | 80,216円 |
35年目 | 79,633円 | 584円 | 80,217円 |
次に説明する元金均等返済と比較すると、毎月の返済額は固定されるため、家計管理はしやすいです。しかし、利息の面で見ると元金均等返済より支払い総利息は増えます。
例えば…
借入金額 | 3,000万円 | |
借入金利 | 0.675% | 変動金利 |
借入期間 | 35年 | |
支払総利息 | ||
元利均等返済 | 3,691,553円 | |
元金均等返済 | 3,552,195円 | |
利息差額 | 139,358円 |
借入金額や返済期間が同条件で返済方法が違うだけで約14万円の差額があります。
元利均等返済は家計管理を重視したライフプランを設計したい方におすすめな返済方法です。
返済方法②:元金均等返済
元金均等返済とは、元金が毎月一定の金額になり、そこに利息が加わった金額が毎月の返済金額になる返済方法です。
毎月の返済額は、元金を7万円とした場合、利息が1万円加わり、支払金額が8万円になります。来月は、元金7万円に利息9,000円が加わり、支払金額が7.9万円になるといったイメージです。 元金均等返済の場合、返済当初の毎月支払総額が一番多く、完済に近づくにつれて支払総額が少なくなっていきます。
例えば…
借入金額 | 3,000万円 | ||
借入期間 | 35年 | ||
借入金利 | 0.675% | 変動金利 | |
返済方法 | 元金均等返済 | ||
毎月支払額内訳 | 元金 | 利息 | 総額 |
1年目 | 71,428円 | 16,875円 | 88,303円 |
35年目 | 71,428円 | 522円 | 71,905円 |
同条件で返済方法を元利均等返済にすると…
毎月支払額内訳 | 元金 | 利息 | 総額 |
1年目 | 63,342円 | 16,874円 | 80,216円 |
35年目 | 79,633円 | 584円 | 80,217円 |
支払当当初は元金均等返済の方が毎月返済額は多いですが、完済に近づくと約8,000円程度毎月支払額は少なくなります。
元金均等返済は利息をなるべく払いたくない方、早期に返済していきたい方におすすめな返済方法です。
元利均等返済時の2つのルール
返済方法で元利均等返済を選択する場合、2つのルールがあることはご存知でしょうか?
住宅ローンという長期的な借入を組む場合は、金利の仕組みや返済方法などを十分に理解して選択するようにしましょう。
金利変動があった際、毎月の返済額は5年間は固定されるルール
・ルール②:125%ルール
6年目見直し時に、従来返済額から最大増加率を125%以内にするルール
ルール①:5年ルールとは
5年ルールとは、元利均等返済を選択した際に金利上昇により毎月の返済額が変わる場合であっても5年間は据え置きにするルールです。
変動金利自体は半年ごとに金利見直しがあります。金利上昇があった場合は返済額は5年間は据え置き、6年目から金利と返済額が上がるようになります。
据え置き期間5年といっても毎月支払額の元金と利息の内訳は変更されます。
例えば、毎月返済額が10万円の人で内訳が元金8万円、利息2万円だったとします。
金利上昇により毎月返済額は10万円で変わりませんが、内訳が元金7万円、利息が3万円になってしまうということです。
このまま返済が進んだ場合、元金・利息の未払い分が発生する可能性が出てきます。その場合、最終金支払い時に住宅ローンを借りている金融機関から元金・利息の未払い分を請求されることになります。
半年ごとの見直しで毎月の支払い金額が増える心配がないのは良いですが、完済時に未払い分を請求されるかどうかは金融機関に確認するようにしておきましょう。
ルール②:125%ルールとは
125%ルールとは、元利均等返済を選択した際に5年ルール適用による6年目(金利が変わる時)に金利上昇により毎月の返済額が変わる場合であっても、従前の返済額の125%は超えないように調整するルールです。
毎月返済額が10万円の人の場合、金利が急に上がったとしても返済額は6年目からは125,000円(25%増)を超えることはありません。
例えば、借入金額3,000万円、返済期間35年、金利0.625%の人が支払い開始から6年目に125%ルールの適用を受ける場合、当初79,544円/月から99,430円/月が支払い金額の上限になります。金利にすると2%に上昇するイメージです。ここまでの急な金利上昇はなかなか想像はつきにくいですが、このような事態になった際に返済が困難にならないようなルールになっています。
しかし5年ルール同様このまま支払いが進んでいっても、元金の未払いが発生する可能性が出てきます。その場合は、最終金支払い時に住宅ローンを借りている金融機関から元金の未払い分を請求されることになります。
上記5年ルール同様、変動金利を選択する人は金利動向に敏感になっておきましょう。
変動金利の基準:短期プライムレートとは
変動金利は、「短期プライムレート」を基準に金利を決めています。
金利見直し時期は4月と10月、短期プライムレートに連動して見直しをします。
短期プライムレートとは、一般的に金融機関が1年以内の融資を行う際の最優遇貸出金利のことをいいます。 また、企業を対象とした融資の際にも使われる基準になります。
金融機関では、短期プライムレートに1%上乗せした金利を変動金利の基準金利としています。 実際に住宅ローンで適用される適用金利は、基準金利から適用金利の優遇や上乗せが各金融機関ごとに行われて決まります。
短期プライムレートは日本銀行が決める政策金利(日本銀行が民間銀行に貸し出す際の金利)を元に決定するため、政策金利が上がる場合ということは短期プライムレートも上がることになります。
この政策金利は日本全体の景気動向を見ながら決めていく為、景気が良くなると金利は上利、景気が悪くなると金利が下がる傾向にあります。
ちなみに2023年8月現在の日本銀行が公表する短期プライムレートの最頻値は1.475%です。
上記数字(最頻値)は2009年からずっと変わっておりません。
こちらに1%金利を上乗せした2.475%が「基準金利」や「店頭金利」と呼ばれるものです。
この2.475%から各金融機関ごとの「優遇金利」があり、「適用金利」となります。
短期プライムレートが上がっても優遇金利次第では適用金利は変わらない可能性もあります。
住宅ローン金利を確認する際、優遇金利がいくらなのか、一定期間なのか全期間優遇なのか、金融機関に確認するようにしましょう。
参考までに、変動金利と固定金利(全期間、選択型)はそれぞれ連動する指標が違うことも知っておきましょう。
固定金利:長期プライムレート
固定金利の金利を決める基準となる「長期プライムレート」とは、金融機関が1年以上の融資を行う際の最優遇貸出金利のことをいいます。
基本的に短期プライムレートは長期プライムレートに連動します。これは世間でよく聞く「固定金利が上がってくると変動金利も近々上がるのでは」と心配する現象です。
短期プライムレートは半年に1度金利見直しがありますが、長期プライムレートは毎月見直しがあるため、長期プライムレートの方が金利の上下動が激しいです。また短期プライムレートは半年に1度見直しのため、変動金利を組んでいる方で「変動金利が上がってきたから固定金利に変えて対策しよう」というのは現実的には難しく、固定金利はすでに金利上昇しているケースも多いので安易に考えないようにしましょう。
変動金利を組むメリット、デメリットついて
低金利で借入ができることで人気のある変動金利ですが、メリットばかりではありません。
ここでは変動金利を組む際のメリット、デメリットを確認しておきましょう。
・固定金利より金利が低い
・返済中に金利が下がると利息の支払額も減る
〈変動金利を選択するデメリット2選〉
・金利上昇より支払額が増えるおそれがある
・2つのルールにより返済期間終了時に未払利息が残るおそれがある
変動金利を選択するメリット2選①固定金利より金利が低い
変動金利を選択する一番のメリットは固定金利に比べて金利が低い点です。
近年のマイナス金利政策により、住宅ローン金利は低水準で推移しています。
借入当初は金利上昇の不安で固定金利を選択された方でも数年後、変動金利に借り換えをするぐらいです。
固定金利と変動金利では商品によっては1.5倍〜2倍近く金利が違うこともあったり、10年前に変動金利で住宅ローンを組んだ方も今の水準だと1.5倍くらい開きがあります。
借り換えを検討された方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
また金利が低い分、元金の減るスピードも早いため、固定金利と比べると返済額は大幅に減らせることができます。
金利が変動するリスクと低金利での支払いを天秤にかけてしっかり判断するようにしましょう。
変動金利を選択するメリット2選②返済中に金利が下がると利息の支払額も減る
変動金利は半年に一度見直しが入るため、金利が下がる可能性があります。
固定金利だと限定された期間(3年、5年、10年等)や借入期間ずっと同じ金利水準で支払うことになります。
変動金利では良い意味で政策金利と連動するため、金利が下がると住宅ローンの支払額も下がることになります。
現状のマイナス金利政策ではこれ以上の低金利は期待できないかもしれませんが、このようなメリットも知っておいてください。
変動金利を選択するデメリット2選①金利上昇より支払額が増えるおそれがある
変動金利の最大のリスク、デメリットが金利上昇です。
元金均等返済を選択している場合、上記の「5年ルール」や「125%ルール」が無いことが多いため、金利上昇が返済額に直撃してしまいます。
ちなみに2023年8月現在の日本銀行が公表する短期プライムレートの最頻値は1.475%です。
上記数字(最頻値)は2009年からずっと変わっておりませんが、1990年まで遡ると8%代の時代もありました。
私の両親はこの年代に家を購入しており、総支払金額は借り入れた金額の倍以上の数字でした…
上記まで金利が上昇する可能性は考えにくいですが、変動金利で住宅ローンを組む以上は様々なリスク対策を考えておくようにしましょう。
変動金利を選択するデメリット2選②2つのルールにより返済期間終了時に未払利息が残るおそれがある
せっかくの制度がデメリットにつながることがあります。
「5年ルール」、125%ルール」によって、急激な金利上昇があっても返済額を軽減できるメリットがあります。
軽減した返済額は無くなるのではなく、返済期間終了時に一括返済する必要があります。
毎月返済額を軽減するということは、毎月の支払額の内訳が利息ばかりになってしまい、なかなか元金が減らない状況になってしまう可能性もあります。
また場合によっては、利息も払いきれない状況になり、未払利息が残る可能性も。
償還表をしっかり確認して、毎月の返済額の内訳(元金と利息それぞれの金額)が大きく変化していないか見るようにしておきましょう。
変動金利の向き不向き、変動金利を組む注意点、対策方法について
ここでは変動金利に向き不向きな人や変動金利を組む際の注意点や対策方法を説明しています。
①総返済額を抑えたい人
②返済期間が短い人
③金利上昇による返済負担増に備える資金がある人
④金利動向のチェックが得意な人
⑤計画的に繰り上げ返済の計画がある人
〈変動金利が向いていない人の特徴3選〉
①金利動向のチェックが苦手な人
②返済期間が長い人
③計画的な繰り上げ返済が苦手な人
〈変動金利を組む際の注意点3選〉
①元利均等返済では、元金・利息の繰り延べに注意
②元金均等返済では大幅な支払額アップに注意
③長期の借入に対するリスクヘッジを考えておく
〈変動金利のリスクヘッジ、対策方法3選〉
①早期の返済計画計を立てて繰り上げ返済を行う
②借入金額を抑える
③金利動向をチェックして借り換えを検討する
変動金利が向いている人の特徴5選①総返済額を抑えたい人
返済総額は固定金利より変動金利の方が低くなる傾向にあります。
例えば…
借入金額 | 3,000万円 | |
借入期間 | 35年 | |
借入金利 | 変動金利0.675% | 固定金利1.78% |
総返済額 | 33,691,553円 | 40,330,642円 |
差額 | 6,639,089円 |
上記試算では変動金利と固定金利の差が約660万円分変動金利がお得ということになります。
ただ、試算はあくまで、変動金利の金利が上下しない試算計算のため、金利上昇によっては固定金利を上回る可能性もあります。
総返済額を抑えたい人は上記メリットと同じくらい金利上昇のリスクも頭に入れておきましょう。
変動金利が向いている人の特徴5選②返済期間が短い人
返済期間が短い人も変動金利が向いているといえます。
住宅ローンは基本的に35年ローンという長期の返済計画で支払いをしていきます。
当然、ライフプランの変化(家族構成の変化や急な出費等)によって返済計画に見直しが出てくることや思ってもみない金利上昇に遭遇する可能性もあります。
借入期間が短いということは上記のようなリスクも最小限に抑えることができるため、変動金利の影響を受けにくくなります。
借入金額や返済期間によって金利タイプを選択することは最善の方法の一つです。
変動金利が向いている人の特徴5選③金利上昇による返済負担増に備える資金がある人
住宅ローンの金利上昇による返済負担増に備える預貯金がある方は変動金利に向いています。
変動金利の特性上、金利上昇リスクから逃げることはできません。
借入当初は支払可能であっても、ライフプランの変更(転勤や急な物入り等)や金利上昇に対応できる預貯金がないと大事な時に必要な選択ができなくなります。
金利が上昇した際に対応できるかどうかの預貯金をいくら備えているかどうかは各家庭のライフプランで違ってくると思いますので、長期的な返済リスクを考慮しながら金利選択をするのをおすすめします。
変動金利が向いている人の特徴5選④金利動向のチェックが得意な人
慎重な性格の方やマメなタイプの方は変動金利に向いています。
様々な選択をする中で何に対してもメリット、デメリットは存在します。 慎重な性格の方は事前に情報収集を行い、メリット・デメリットを確認してから行動に移す傾向が強いです。
金利選択の場合でも変動金利のメリット・デメリットを確認したり、選択後も都度金利動向を確認する傾向があるため、適切な判断ができるかと思います。
また景気の流れを追えたり、株価のチェックをしたりするマメなタイプの方も変動金利に向いています。
一方、経済の流れに興味が無かったり、家計管理が得意ではない方は固定金利の方が向いているかもしれません。
変動金利が向いている人の特徴5選⑤計画的に繰り上げ返済の計画がある人
繰り上げ返済の予定を入れたライフプランを計画している方も変動金利に向いています。
例えば、
「子供に学費がかかるまでの5年間は繰り上げ返済をしていく」
「 子供が手を離れた3年間で繰り上げ返済して返済期間を短くする」
など計画的な繰り上げ返済は、結果的に総支払額を抑えることができます。
注意点として繰り上げ返済を行う際の手数料が発生するのかどうか。
これは事前に金融機関に確認したり、手数料無料の金融機関を選択するようにしましょう。
変動金利が向いていない人の特徴3選①金利動向のチェックが苦手な人
金利チェックや家計管理が苦手な方は変動金利は不向きです。
変動金利を選択するとどうしても金利動向は確認しないといけません。
金利上昇した際の改善策であったり、借り換え先の選択などの確認や判断が必要になってきます。
上記の内容が手間だったり苦手な方、面倒と感じる方は変動金利でなく固定金利をおすすめします。
変動金利が向いていない人の特徴3選②返済期間が長い人
数字だけ見れば返済期間が長い方は変動金利に向いていません。
仮に35年の住宅ローンを組んだ場合、誰も35年後の金利を予測することはできないからです。
返済期間が長ければ長いほど、変動金利による金利変動リスクは高まります。
35年後の金利に不安がある方は固定金利をおすすめします。
変動金利が向いていない人の特徴3選③計画的な繰り上げ返済が苦手な人
行き当たりばったりの返済計画では変動金利をおすすめできません。
例えば、
「ボーナスが多く入ったからとりあえず50万円繰り上げ返済しておこう」
「とりあえず100万円繰り上げ返済しておこう」
といった思考では数十年組むであろう住宅ローンの返済ではリスクが高いです。
繰り上げ返済で総支払額が減るのはもちろん良いことなのですが、ライフプラン上の急な出費(車の故障による買い替えや子供の進学で一人暮らしを始める等)に対応する預貯金を備えておく必要があります。
預貯金に回さずに繰り上げ返済をすることで住宅ローンより金利の高いマイカーローンで車を購入する羽目になるかもしれません。
繰り上げ返済も計画的に行うようにしましょう。
変動金利を組む際の注意点3選①元利均等返済では、元金・利息の繰り延べに注意
元利均等返済では、大幅な金利上昇により元金と利息が繰り延べされる可能性があります。
変動金利で元利均等返済を選択した場合、「5年ルール」と「125%ルール」が適用されます。
詳しくは以前説明してますが、簡単にいうと急激な金利上昇によって毎月の支払金額が増えることを抑制するルールのことです。
毎月の支払額は変わらなくても、元金・利息の内訳であったり、最終回へ元金が繰り延べされていることがあります。
元利均等返済を選択する場合は上記内容も注意するようにして下さい。
変動金利を組む際の注意点3選②元金均等返済では大幅な支払額アップに注意
元金均等返済では、金利が上昇すると上昇した分だけ毎月支払額に影響します。
元金均等返済は、5年ごとに返済額が見直しされる「5年ルール」と急激な金利上昇を抑える「125%ルール」が適用されません。
元利均等返済より元金の返済スピードが早いというメリットがありますが、上記2つのルールが適用されない為、金利上昇があった場合に返済資金の準備が重要になります。
元金均等返済を選択する場合は、金利上昇した際の対策を考えておくようにしましょう。
変動金利を組む際の注意点3選③長期の借入に対するリスクヘッジを考えておく
住宅ローンは長期的な返済計画が必要な借入です。
固定金利では完済まで毎月支払額が変わらない分、変動金利より若干金利が高くなっている点がリスクです。
また変動金利は固定金利より低金利な分、完済まで金利が上下する点がリスクとなります。
住宅ローンは多くの方が35年という長期でローンを組むため、しっかりライフプランを計画することが大切になります。
「変動金利を選択する上で、返済中に金利が上がることもある」というマインドでリスクヘッジを考えておくようにしましょう。
変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選①早期の返済計画計を立てて繰り上げ返済を行う
返済計画を組む際は、しっかりライププランを設計しましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済方法は、返済額は変えずに返済期間を短くする「期間短縮型」と返済期間は変えずに返済額を少なくする「返済軽減型」の2種類があります。
繰り上げ返済方法も考えていく必要がありますが、前提は早期の返済計画です。
各家庭でライフプランをしっかり考え計画して繰り上げ返済を行なっていくと、多少の金利上昇があっても影響は少ないと思います。
変動金利を選択する場合は返済計画を立てて、繰り上げ返済を行うようにしていきましょう。
変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選②借入金額を抑える
借入金額を抑えると金利上昇の影響を小さくすることは可能です。
例えば、金利0.675%の場合…
借入金額 | 3,000万円 | 3,500万円 |
借入期間 | 35年 | |
返済方法 | 元利均等返済 | |
毎月支払額 | 80,217円 | 93,587円 |
支払総利息 | 3,691,553円 | 4,306,811円 |
支払差額は13,370円、総利息差額は615,258円になります。
同じ金利でも借入金額が3,000万円と3,500万円だと総利息は約61万円の差があります。
金利0.8%に上がった場合…
借入金額 | 3,000万円 | 3,500万円 |
毎月支払額 | 81,918円 | 95,571円 |
支払総利息 | 4,405,678円 | 5,139,957円 |
支払差額は13,653円、総利息差額は734,279円になります。
こちらでは借入金額が3,000万円と3,500万円だと総利息は約73万円の差があります。
金利が0.125%上昇すると約12万円利息増に繋がります。
また同じ借入金額で比較すると、3,000万円の場合、金利が0.125%上昇すると約71万円の利息増に繋がります。3,500万円の場合だと、約83万円利息が増えてしまいます。
住宅ローン借入時に500万円自己資金を入れることで、上記のような金利上昇時の月々支払額や総利息の削減に繋がります。 金利負担や金利上昇不安解消にも影響します。
借入金額を抑えれば抑えるほど、変動金利リスクの対策がしやすくなります。
変動金利のリスクヘッジ・対策方法3選③金利動向をチェックして借り換えを検討する
変動金利を選択する場合は特に、住宅ローンの借り換えは頭に入れておく必要があります。
金利上昇による毎月の支払額が増えてしまうことでライフプランの変更も出てくる可能性もあります。
その際に住宅ローンの借り換えが選択肢にあると大きなリスクヘッジになります。
詳細はこちらの記事で案内しておりますが、借り換えを検討するタイミングを逃さずにしましょう。
下記記事では借り換えのタイミングについて説明していますので是非ご覧になって下さい。
住宅ローン借り換えタイミングはいつが良い?注意点や借り換えのメリット・デメリットと合わせて解説
また借り換え時は保証料や事務手数料など、別途費用が発生してしまいます。
こちらに関しても事前に内容理解しておきましょう。
住宅ローン借り換え時の諸費用とは?組み込むメリット、デメリットについても解説
住宅ローンを変動金利で組む
住宅ローンの金利選択は事前審査時には決めておくようにしましょう。
主な流れは事前審査〜本審査〜銀行契約〜融資実行となります。
必要書類な細かい内容につきましては下記記事をご覧ください。
住宅ローン借り換えタイミングはいつが良い?注意点や借り換えのメリット・デメリットと合わせて解説
変動金利、固定金利比較参考シュミレーション
ここでは借入金額、借入金利別で支払シュミレーションを作成しました。
団体信用生命保険の保障内容や借入時の年齢、収入等で金利タイプや借入期間等の違いはありますが、数字上の参考にして下さい。
※地方銀行
・固定金利:1.8%
※フラット35
借入金額 | 3,000万円 | |
借入期間 | 35年 | |
借入金利 | 変動金利 | 固定金利 |
毎月支払額 | 79,544円 | 96,327円 |
総返済額 | 33,408,564円 | 40,457,513円 |
支払総利息 | 3,408,564円 | 10,457,513円 |
借入金額 | 5,000万円 | |
借入期間 | 35年 | |
借入金利 | 変動金利 | 固定金利 |
毎月支払額 | 132,573円 | 160,545円 |
総返済額 | 55,680,940円 | 67,429,188円 |
支払総利息 | 5,680,940円 | 17,429,188円 |
試算上、変動金利の金利上下は入れておりません。35年ずっと0.625%で金利が推移していくわけではありませんので、くれぐれもご注意ください。
まとめ
最後にこの記事の重要な部分をまとめます。
①元利均等返済
元金と利息の合計が一定の金額となる返済方法
②元金均等返済
元金が毎月一定の金額になり、そこに利息が加わった金額が毎月の返済金額になる返済方法
・さらに元利均等返済には2つのルール
①5年ルール
金利上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない
②125%ルール
金利上昇の際の1回の上昇幅を最大125%までに規制する
※元金均等返済は上記2つのルールがないため、急激な返済額増額に注意が必要
・指標となるレートが異なるため金利変動時の借り換え検討は注意が必要(変動金利が遅れて上昇する)
変動金利:短期プライムレート(半年に1度金利見直し)
固定金利:長期プライムレート(毎月金利見直し)
・リスクヘッジが取れていて金利動向をチェックできる方は返済スピードが固定金利に比べて早いので変動金利をおすすめ
変動金利は仕組みや特徴を理解すれば低金利で返済ができるのでおすすめな金利タイプです。
ご自身が変動金利に向いているのか、向いていないのか、金利上昇時の対策が取れているのかどうなのか。確認しながら借入金利を選択するのをおすすめします。