「オルカンってなぜ人気なの?」
「オルカンって世界中の株を均等に買っているの?」
「オルカンが人気って聞くけど初心者でも購入は大丈夫かな?」
「オルカンで積立してるけどぶっちゃけ何かわかっていない…」
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事で紹介する「オルカン」の中身を確認すれば、初心者でも投資信託を始めるきっかけになると思います。
なぜなら、実際に私もオルカンを買っていた当初は何か分からず購入していましたが、オルカンの内容を確認できたので今では悩みや不安が解決でき積立できています。
記事前半ではオルカンについての説明を、後半では注意点やよくある質問を解説するので、じっくり読み込んでください。
・指数への連動を目指したインデックスファンドであるから
・「時価総額加重平均」で算出されるから
・先進国、新興国を投資対象としているから
・全世界の「上場企業」かつ「大型株・中型株」を投資対象としているから
・手数料等のコストが安いから
新NISAと人気証券会社の買付ランキングについて
最初に新NISA制度の確認と投資信託の買付ランキングについて説明します。
オルカンをすでに購入されている方はNISA制度を利用している方が多いと思いますので復習するぐらいの気持ちで確認しておいて下さい。
またオルカンが実際どのくらい人気なのか買付ランキングを元に確認しておきましょう。
新NISAおさらい
2018年1月から始まったつみたてNISA制度が終了し、2024年1月より新NISA制度が始まりました。
つみたてNISAから新NISAに制度が変わったことによる大きな変更点は下記4つ
①非課税保有期間:恒久化
②年間投資上限額:360万円
③非課税枠:売却による再利用可能
④最大利用上限額:1800万円
非課税期間の恒久化や年間投資上限額が増加したりと非常に利用しやすい制度になりました。
また2024年3月11日の日本経済新聞のニュースでクレジットカード積立が最大10万円/月までとなり、積立額が増加するきっかけとなるのではないかと感じています。
日本経済新聞より
昨今の投資ブームで口座解説しようとしている方や口座開設まではしたけど何を買ったら良いのか。と悩んでいる方はNISA制度を理解しつつ、オルカンの便利さを学んでいただければと思います。
新NISAと旧NISA制度の詳細はこちらから↓
つみたてNISAと新NISAは併用できるの?2024年〜新NISA制度の特徴や活用方法、よくある質問を解説
買付ランキング確認
新NISAが2024年1月から始まりました。
ネット証券で人気の楽天証券、SBI証券でオルカンが買付ランキングをのどの位置にいるのか確認してみましょう。
・楽天証券の買付ランキング
楽天証券より
・SBI証券の買付ランキング
SBI証券より
楽天証券では2位、SBI証券では1位にランキングされております。
また楽天証券もSBI証券も上位にeMAXIS Slimシリーズ(全世界株か米国株式)が並んでおり、投資家からの評価が高いことで人気のファンドとなっています。
オルカンについて
ここからはオルカンについて、投資初心者の方は知らないかもしれない情報についてもお伝えしていきます。
自分が選んでいる投資信託が「何に連動した値動きを目指すファンド」、「ベンチマークは何か」、「投資する国と地域はいくつか」など友人に聞かれても答えられるくらいに理解しておきましょう。
・ファンドと指数について
・投資する国/地域と構成比率について
・投資比率は均等ではない
・市場は全てが対象ではない
・投資する企業数と企業のサイズ感について
・コストが安い
オルカンとは
まずオルカンとは何かについてご説明します。
細かい特徴も確認しておくようにしましょう。
オルカンとは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略で多くの方が投資しているファンドです。
eMAXIS Slimとは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」ファンドとして人気の三菱UFJアセットマネジメントが委託会社の商品です。
ちなみファンド(投資信託)とは、それぞれ運用方針が決まっており投資家から集めたお金を様々な投資先へ分散させて運用する金融商品のことを言います。
下記オルカンの運用方針となります。
オルカンの運用方針 | |
委託会社(運用の指図をする会社) | 三菱UFJアセットマネジメント |
運用手法 | インデックス(指数と連動した値動きを目指すファンド) |
ベンチマーク(連動を目指す指数) | MSCI ACWI(配当込み、円換算ベース) |
投資対象 | 株式(ゴールド等ではない) |
投資する国/地域 | 全47の国/地域(アメリカ・日本・中国・インドなど) |
投資する企業数 | 2,829銘柄 |
投資する企業のサイズ | 大型株・中型株 |
カバーする時価総額 | 全世界の時価総額のうち85%をカバー |
ファンドと指数について
ファンド(投資信託)にはざっくり2種類に分かれ、インデックスファンドとアクティブファンドと呼ばれています。
・アクティブファンド(指数を上回る成績を目指したファンド)
オルカンは指数への連動を目指したインデックスファンドになります。
次に指数についてです。
先ほど「オルカンは指数への連動を目指したインデックスファンドになります」とお伝えしましたが、この連動を目指す指数とは何か。その指数は「MSCI ACWI」です。
・MSCI:モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社の略
・ACWI:オール・カントリー・ワールド・インデックスの略
つまりモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が作ったオール・カントリー・ワールド・インデックスという指数ということになります。
このベンチマークはグローバル投資の際で最も有名なインデックスで、多くのETFや投資信託がACWIと連動する形をとっています。
投資する国/地域と構成比率について
対象インデックスの国・地域別構成比率は下記になります。
アメリカや日本、フランスなどの先進国地域で23カ国・地域を中国やインド、ブラジルなどの新興国・地域で24カ国・地域を対象としています。
勘違いする人もいらっしゃいますが、「全世界株式オールカントリー」だからといって世界196ヵ国全ての国や地域に投資しているわけではありません。
先進国・地域(23ヶ国・地域)
新興国・地域(24ヶ国・地域)
構成比率
先進国・地域(89.3%)
新興国・地域(10.7%)
またオルカンは四半期ごとに銘柄の入替を行っており、直近では中国銘柄を8%減らし、インド銘柄を追加するニュースもありました。
日本経済新聞より
このようにオルカンでは全世界の優良な銘柄を自動で定期的に入れ替える特徴があります。
投資比率は均等ではない
投資先の比率としては、アメリカが62.3%、日本が5.5%、イギリスが3.7%、中国が3.2%、フランスが2.9%と続きます。
全世界株と言いながらアメリカが全体の6割を占めているのはさすが経済大国ですね。
なぜ均等な割合で分散投資していないのかというと、ベンチマーク(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)が「時価総額加重平均」で算出されるためです。
「時価総額加重平均」とは、時価総額の大きい国や地域ほど構成比率が高くなる算出方法です。
時価総額つまり「株価×株式数」が大きい銘柄には多く投資し、時価総額が小さい銘柄には少しだけ投資をする仕組みになっております。
今のトレンドに合わせた比重で組み替えしてくれるので投資初心者でも始めやすいですね。
・アメリカ:62.3%
・日本:5.5%
・イギリス:3.7%
・中国:3.2%
・フランス:2.9%
市場は全てが対象ではない
MSCI ACWIは先進国、新興国を投資対象としています。
全世界株と言いながら上記2つの市場を対象にしていますが、 市場自体は大きく下記4つの区分に分かれています。
・先進国(DEVELOPED MARKETS)
経済や金融市場が発達している市場のこと。
・新興国(WMERGING MARKETS)
先進国に対して現在の経済水準が低かったり、未成熟市場で高リスクが想定される市場のこと。
経済の急成長が期待できる市場でもある
・フロンティア(FRONTIER MARKETS)
新興国より国が小さく、流動性が低い、リスクが高い市場のこと
・スタンドアローン(STANDALONE MARKETS)
資本移動に規制があって流動性が低く、スタンドアローン(孤立)した市場。投資不適格の市場。
フロンティア市場やスタンドアローン市場はリスクが高い市場であったり、投資不適格の市場となるため、オルカンには含まれておりません。
またこれらの市場は常に入れ替わりをする自動メンテナンスシステムとなっており、オルカンへ投資するだけで投資不適格市場を選別することができます。
投資する企業数と企業のサイズ感について
オルカンは、全世界の「上場企業」かつ「大型株・中型株」を投資対象としており、約3,000銘柄、上場企業の上位85%をカバーしています。
ちなみにTOPIX構成銘柄の場合、
大型株:時価総額と流動性が高い上位100銘柄
中型株:次いで時価総額と流動性が高い上位400銘柄(TOPIX Mid400の算出対象)
小型株:大型株・中型株に含まれない全銘柄(TOPIX Smallの算出対象) と表しています。
ACWIの場合だと、
大型株:先進国23ヵ国、新興国24ヵ国それぞれ時価総額上位70%
中型株:先進国23ヵ国、新興国24ヵ国それぞれ時価総額中位15% を対象としています。
ちなみに 小型株:先進国23ヵ国、新興国24ヵ国それぞれ時価総額下位15%
は含まれないようになっています。
三菱UFJアセットマネジメントより
組入上位10銘柄はこんな感じです。
マイクロソフト、アップル、アマゾンなどアメリカが上位10社を独占しています。
また最近ニュースなどで見かけるエヌビディアも3位に君臨しています。
コストが安い
最後に手数料等でかかるコストについても触れておきます。
MSCI ACWIに連動する他のファンドと比較すると分かりやすいと思いますので、下記確認ください。
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
コスト:0.05775%
・One-たわらノーロード 全世界株式
コスト:0.1133%
・三菱UFJ-つみたて全世界株式
コスト:0.198%
比較すると一目瞭然ですが、MSCI ACWIに連動するファンドだと、最安級のコストで運用することができます。
ちなみにかかるコストは下記になります。
→投資信託を購入する際に、購入費用とは別で販売会社に支払う費用(ノーロード)のことをいいます。
・運用管理費用(信託報酬):保持している間
→投資、運用をしてくれる運用会社に支払われる手数料のことをいいます。
・信託財産留保額:売却時
→投資信託を途中で現金化する際にかかる費用のことをいいます。
重要性、メリット・デメリット
オルカンを購入するにあたってのいくつかの大事なポイント等をお伝えさせて頂きます。
先ほどオルカンについて説明した通り、初心者でも始めやすいファンドだと思いますが、大きく3つの点にも注意しながら購入の検討、ライフプランの参考にしてください。
・15年超使用しない資産を入れるならオルカン
・長期運用期間が不安な方は債券やREIT、日本高配当株等で資産分散を
全世界株ではあるが、6割が米国株という点
オルカンは上記解説した通り、先進国23ヵ国と新興国24ヵ国も大型、中型株をカバーしたファンドとなります。
株式市場の85%をカバーしておりますが、残り15%、フロンティア市場や小型株は投資対象としておりません。
オルカンは年4回投資対象の見直しが入ります。その時々の市場規模をベースに構成比率が決まる時価総額加重平均型を採用しており、現在では6割を先進国の米国株が占めております。
またフロンティア市場や小型株は投資対象外の為、左記の対象株へ投資したい場合は別に投資信託等を購入する必要があります。
15年超使用しない資産を入れるならオルカン
長期に渡り預金しておく予定の資産はオルカンで運用していくこと投資信託のリスク面を抑える良い資産分散です。
出所:ウォール街のランダム・ウォーカー[原著第12版]
米国のS&P500指数(配当込、円建て換算後)を対象に、1988年〜2016年の28年間で1年間〜15年間投資した際のリスクリターンを比較したところ、1年間や5年間だとマイナスになるケースが出てきます。15年間で見ると元本割れが無かったというデータがあります。
上記のように長期、15年超で資産運用した場合はリスクを限りなく抑えた実績となっています。あくまで過去の実績なので、鵜呑みにしてはいけませんが、参考にするには十分な実績です。
資産の全てを株式運用した方がいいわけではありませんが、長期的に利用しないお金を銀行預金や学資保険に入れるのであれば、オルカンで運用するのも手です。
長期運用期間が不安な方は債券やREIT、日本高配当株等で資産分散を
長期の運用期間に不安がある方は特に資産の分散をおすすめします。
分散内容は債券やREIT、高配当株等がおすすめです。
実際私もつみたてNISAと新NISAでオルカンを積立しながら、新NISA枠と特定口座で日本の高配当株を購入しています。
積立投資とスポット購入で購入タイミングやメンテナンス方法等は異なりますが、高配当株の配当金を毎年得ながらオルカンを積立投資できるのは精神的にも安定する方法ではないかと思います。
また値動きの上下に敏感になりそうな方や不安を感じる方は、債券やREIT等で値動きを安定させるポートフォリオの作成もおすすめです。
どの方法にしても決して無理のない資産運用とライフプラン設計をしていくようにしましょう。
Q&A
ここでは上記オルカンの内容以外でよくある質問を記載しています。
参考程度で確認しておいて下さい。
・旧NISAで購入してきたオルカンはどうすれば良いのか?
オルカンとS&P500両方へ投資するのはリスク分散になる?
こちらの相談はよく出る話ですが、現状では結論リスク分散は出来ていないです。
リスク分散とは、異なる値動きをする傾向にある銘柄を組み合わせることを言います。
異なる値動き=片方が下落すると片方は上昇する、この状態がリスクを抑えることになります。
オルカンとS&P500がどのようなファンドか見てみましょう。
下記オルカンとS&P500の投資比率です。
オルカン:三菱UFJアセットマネジメントより
・オルカン:上位5位
1位:マイクロソフト:4.0%
2位:アップル:3.9%
3位:エヌビディア:2.7%
4位:アマゾン:2.2%
5位:メタ:1.5%
S&P500:三菱UFJアセットマネジメントより
・S&P500:上位5位
1位:マイクロソフト:6.9%
2位:アップル:6.1%
3位:エヌビディア:4.4%
4位:アマゾン:3.6%
5位:メタ:2.5%
上記見ると分かるようにオルカンの投資先の6割が米国株式で組入銘柄上位もS&P500と同じような会社が並びます。この場合だと、オルカンは米国以外の他国へも分散をしていますがS&P500と似たような値動きになってしまいます。
オルカンやS&P500へ投資している場合は債券や日本株などを組み合わせるとリスク分散につながると思います。
どのような株に投資しているのか、何に連動しているのかを確認しながらリスク分散をするようにしましょう。
旧NISAで購入してきたオルカンはどうすれば良いのか?
結論、旧NISAで購入していたオルカンはそのまま放置で良いです。
旧NISAでつみたて投資をしてきた方は20年間非課税期間があります。
懸念事項があるとすれば、購入していた商品のコスト(手数料等)が高いかどうかでしょうか。
例えば下記の商品だと…
・One-たわらノーロード 全世界株式
コスト:0.1133%
・三菱UFJ-つみたて全世界株式
コスト:0.198%
・オルカン
コスト:0.05775%
同じような商品でもコストが違えば、積立金額にも差が出てきます。
コストが高いファンドを購入していたのであれば売却した後、新NISAでオルカンを同額購入されることをおすすめします
また新NISAで1,800万円の枠が設けられましたが、この上限枠まで投資することが難しい場合も旧NISAで購入していた商品は売却し、新NISAで再購入するのも一つの方法です。
旧NISAの非課税期間は20年と長期間なので、コストが高くないファンドであればそのまま持ち続けても良いと思います。
まとめ
最後にこの記事の重要な部分をまとめます。
・指数への連動を目指したインデックスファンドであるから
・「時価総額加重平均」で算出されるから
・先進国、新興国を投資対象としているから
・全世界の「上場企業」かつ「大型株・中型株」を投資対象としているから
・手数料等のコストが安いから
新NISAをこれから始めようとしている方は初心者でも始めやすいオルカンはおすすめの投資信託です。
私もオルカンへの投資信託をベースに色々勉強をして日本高配当株をやっていますが、資産形成のベースはオルカンです。これからの資産形成を考えていく参考にして頂ければと思います。