「電気代を安くする方法はないの?」
「どうしてこんなに電気代が上がったの?」
「他の電力会社に乗り換えた方がお得なの?」
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事で紹介する「電気代高騰の背景について」「電気料金の仕組み」を見れば、誰でもしっかり理解することができます。
また電気代を安くする方法で「電気料金メニューを変更する」から電気料金シュミレーションの試算をすれば、料金メニューの変更だけで電気代を抑えることができるかもしれません。
記事前半では、電気代高騰の背景と電気料金の仕組みを、後半では電気代を安くする方法、よくある質問への回答を解説しておりますので、じっくり読み込んでください。
- 電気料金は、①基本料金(最低料金)②電力量料金③託送料金④燃料費調整額⑤再生可能エネルギー発電促進賦課金の要素で構成されている
- 電気代を安くする方法は、①節電する②電気料金メニューを変更する
→おすすめは電気料金メニューを変更する - 中国電力HPより「ずっとクラブ会員」であれば、「契約変更シュミレーション」より試算が可能
- 「契約変更シュミレーション」は太陽光発電や蓄電池が設置されている方は詳細な試算ができないので注意(自家消費が計測できない為)
- 電力会社を他社へ乗り換える場合は、安さよりも料金メニュー(従量電灯型か市場連動型)に注意
電気代高騰の背景について
まず最初に昨今の電気代高騰の背景を確認しておきましょう。
細かい要因はありますが、大きくは下記2つが電気代高騰の背景にあります。 それぞれ確認しておきましょう。
- ロシア・ウクライナ情勢を背景とした世界的な燃料価格の変動により増加した
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価変更により増加したこと
ロシア・ウクライナ情勢を背景とした世界的な燃料価格の変動により増加した
エネルギーの9割近くを輸入に頼る日本にとって、ロシア・ウクライナ情勢は大きな影響を与えました。
日本でも、燃料価格の高騰により2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始し、国民の負担軽減を行なってきました。
こちらの「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は当初2024年5月使用分で終了予定でしたが、2024年8月〜11月使用分まで補助再開をしております。
このように燃料価格の高騰により負担軽減を行なってきましましたが、多くの家庭が光熱費負担増の対策に悩まされております。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価変更により増加した
電気代の使用量に応じて金額を請求される再生可能エネルギー発電促進賦課金(以降再エネ賦課金)。
太陽光発電を設置している家庭などでは、売電収入として恩恵を受けている方も多いのではないでしょうか。
2012年から導入された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」ですが、太陽光パネルなどの再生可能エネルギーを設置していない方(例えば、マンションや賃貸アパートなど)からも費用負担をして普及促進してきた制度ですが、この再エネ賦課金は年々上昇してきました。2023年度はFIT制度以降、初の前年度単価と比較して低下しましたが、2024年度は過去最大の上昇率で単価も増大しております。
各年度:賦課金額 | 前年度から増減 | 各年度:賦課金額 | 前年度から増減 | 各年度:賦課金額 | 前年度から増減 |
---|---|---|---|---|---|
2012度:0.22円/kWh | →(+0.13円)→ | 2013度:0.35円/kWh | →(+0.40円)→ | 2014度:0.75円/kWh | →(+0.83円)→ |
2015度:1.58円/kWh | →(+0.67円)→ | 2016度:2.25円/kWh | →(+0.39円)→ | 2017度:2.64円/kWh | →(+0.26円)→ |
2018度:2.90円/kWh | →(+0.05円)→ | 2019年:2.95円/kWh | →(+0.03円)→ | 2020年:2.98円/kWh | →(+0.38円)→ |
2021年:3.36円/kWh | →(+0.09円)→ | 2022年:3.45円/kWh | →(-2.05円)→ | 2023年:1.40円/kWh | →(+2.09円)→ |
2024年:3.49円/kWh |
仮に1ヶ月の電気使用量が100kWhとした場合、再エネ賦課金額は、
- 2023年度:100kWh×1.4円=140円
- 2024年度:100kWh×3.49円=349円
同じ使用量なのに差額が2.5倍もある…
上記のように2.5倍の差が出てしまい、家計圧迫の要因の一つとなってしまいます。
電気料金の仕組み
ここでは電気料金の仕組みを確認しておきましょう。
電気料金は主に以下の5つの要素で構成されています。
- 基本料金(最低料金)
- 電力量料金
- 託送料金
- 燃料費調整額
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金
電気料金といっても細かい要素があるんだね。
それぞれ内容を確認して仕組みを理解するようにしましょう。
また電力量料金と燃料費調整額は各料金プランによって金額差が出る部分となります。
基本料金(最低料金)
まず最初に、基本料金・最低料金について説明します。
契約している電気料金メニューによって、基本料金設定のメニューと最低料金設定のメニューがあります。
基本料金設定のメニューは電化Styleコースやおひさまシフトコースなどで設定されているコースで、基本料金と契約電力が超えた分を支払うコースとなります。
最低料金設定のメニューは、従量電灯Aやスマートコースなどに設定しているコースで、1契約につき最初の15kWhまでの使用分にかかる固定の料金のことをいいます。
最低料金とは、従量電灯Aやスマートコースなどに設定している料金で、1契約につき最初の15kWhまでの使用分にかかる固定の料金
基本料金とは、電化Styleコースなどに設定している料金で、契約電力に基づいて計算します。
各料金コース | 各メニュー |
---|---|
・スマートコース | 最低料金 |
・シンプルコース | 基本料金無・最低月額料金有 |
・ナイトホリデーコース | 基本料金無・最低月額料金有 |
・電化Styleコース | 基本料金 |
・おひさまシフトコース | 基本料金 |
・従量電灯A | 最低料金 |
・従量電灯B | 基本料金 |
電力量料金
電力量料金とは、電気の使用量に応じた料金のことです。
こちらも上記、「基本料金・最低料金」でお伝えさせていただいた各料金メニューに基づいて計算されます。
託送料金
託送料金とは、電気供給に必要な送配電設備の利用料金のことです。
多くの方が知らない料金で電気料金の30〜40%を占めている重要な構成要素の一つです。
託送料金相当額=託送料金平均単価×使用電力量
- 託送料金平均単価は地域によって異なる
- 中国電力:低圧託送料金平均単価10.21円/kWh
- 送配電部門の人件費
- 送配電部門の修繕費
- 送配電部門の減価償却費
- 送配電部門の固定資産税
- 電源開発促進税
- 賠償負担
- 廃炉円滑化負担金
2023年4月から「託送料金制度(レベニューキャップ制度)」が導入されたことにより、5年ごとの見直しと、国から承認された収入見通しの範囲内で柔軟に託送料金を設定できる制度となります。こちらの制度により最大16%の託送料金が値上げしたエリアもありました。
燃料費調整額
燃料費等調整額とは、「1kWh」の電気を作るのに必要な燃料(LNG、原油、石炭等)価格の変動を電気料金に反映するための料金のことです。
原油、LNG、および石炭の燃料価格の変動を、あらかじめ定めたルールにより、電気料金に反映させる制度
- 3ヶ月間の貿易統計価格に基づいて算定される
- 2ヶ月後の電気料金に反映される
離島供給に係る燃料価格の変動を、電気料金に反映させる制度
- 離島の平均燃料価格に基づいて算定される
- 本土の燃料費調整額と合わせて適用される
燃料費調整額=使用電力量(kWh)×燃料費調整単価(円/kWh)(2024年度は3.49円/kWh)
- 燃料価格の変動に応じて、燃料費調整額を加算あるいは差し引いて電気料金が計算される
- 毎月単価が変動される
- 各電力会社が自由に設定できる
- 2024年11月現在、政府が実施する「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による特別措置により負担減
燃料費調整額は電気代が大きく上下する影響力があります。
ざっくりでも仕組みを理解することが電気代の節約に繋がったり、電気代の高騰にも一喜一憂せず対応することができるようになります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)とは、2012年から導入された固定価格買取制度の一部です。
再エネ賦課金=電気使用量(kWh)×再エネ賦課金単価(円/kWh)(2024年度は3.49円/kWh)
- 単価は全国一律
- 毎年金額見直し(決定者:経済産業大臣)
- 2023年度は1.40円/kWh、2024年度は3.49円/kWhと約2.5倍に上昇
各年度:賦課金額 | 前年度から増減 | 各年度:賦課金額 | 前年度から増減 | 各年度:賦課金額 | 前年度から増減 |
---|---|---|---|---|---|
2012度:0.22円/kWh | →(+0.13円)→ | 2013度:0.35円/kWh | →(+0.40円)→ | 2014度:0.75円/kWh | →(+0.83円)→ |
2015度:1.58円/kWh | →(+0.67円)→ | 2016度:2.25円/kWh | →(+0.39円)→ | 2017度:2.64円/kWh | →(+0.26円)→ |
2018度:2.90円/kWh | →(+0.05円)→ | 2019年:2.95円/kWh | →(+0.03円)→ | 2020年:2.98円/kWh | →(+0.38円)→ |
2021年:3.36円/kWh | →(+0.09円)→ | 2022年:3.45円/kWh | →(-2.05円)→ | 2023年:1.40円/kWh | →(+2.09円)→ |
2024年:3.49円/kWh |
特徴は下記になります
- 電気を使うすべての方が負担する
- 電気料金の一部となっている
- 負担額は電気の使用量に比例する
- 電力会社の利益になっていない(国が指定する機関に納めている)
対象となる再生可能エネルギーは下記になります
- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- バイオマス
再エネ賦課金単価は年々上昇傾向にあり、電気使用量によって負担額が増減するため、いかに電気使用量を抑えることができるかが、ポイントになります。
電気代を安くする方法
ここまで電気代高騰の背景や電気料金の仕組みを理解したところで、電気代を安くする方法をみていきましょう。
電気代を安くする方法
- 節電する
- 電気料金メニューを変更する
節電する
電気代を安くする方法として真っ先に思いつくのは節電だと思います。
各家庭でできることは…
・エアコンを入り切りしない
・お風呂に入る時間帯を家族で合わせる(追い焚きをしないようにする)
・年数の経った家電から省エネ家電に買い替える
また太陽光発電の付いた住まいでは…
・食洗機や洗濯機の予約機能を使い、昼間に動かすようにする
・エコキュート(給湯器)の沸き上げを昼間が主になるようにする
節電のためにエアコンを使用しなかったため、体調を崩しては意味がありません。
また省エネ家電の方が節電にはなりますが、一気に家電を買い替える資金が必要になります。
上記内容にて、私は節電が電気代を安くする方法の最善策ではないと考えています。
電気料金メニューを変更する
電気代を手軽に抑える方法としての最善策は、電気料金メニューを変更することです。
中国電力のホームページより電気料金シュミレーションの試算を行うことができます。
「ぐっとずっとクラブ」の会員であれば、過去の電気使用実績から具体的なシュミレーションを行い、より良い料金メニューへ変更することができます。
日々の節電や節約を気にする前に料金メニューを変更するだけで毎月の電気代を下げることができるかもしれません。
下記、料金変更シュミレーションの流れです。
①中国電力HPより電力料金〜電気料金シュミレーションを選択
②契約変更シュミレーションからぐっとずっと。クラブ会員の方は上部を選択
③ログイン後、ご利用状況〜契約変更シュミレーションを選択
30分値実績が過去1年間ない場合
①シュミレーションをする契約番号を選択
②試算する契約を選択して「次へ」
③30分値実績がない場合は、月別のご使用量を手入力していきます。
④30分値実績がない場合は、在宅状況を選択します。
⑤シュミレーション結果が出るので現状と比較
意外と簡単なんだね。
30分値実績が過去1年間ある場合
①シュミレーションをする契約番号を選択
②試算する契約を選択して「次へ」
③シュミレーション結果が出るので現状と比較
これだけで安くなるならやってみようかな。
30分値実績について
・スマートメーターに取替後、1年経過しているか
・他社から中国電力へ切り替えて1年経過しているか
上記を満たしていないと30分値実績が利用できません。
30分値実績を利用できると、より正確な試算を行うことができます。
注意点やQ&Aについて
先ほど、電気代を安くする方法で契約変更シュミレーションを試算することができると案内しましたが、注意点がいくつかあります。 下記に該当する方は注意してシュミレーションを行うようにしましょう。
- 太陽光発電設置邸はシュミレーションできる?
- 蓄電池設置邸はシュミレーションできる?
- 他の電力会社に乗り換えはどうか?
太陽光発電が付いているけどシュミレーションできる?
自宅に太陽光発電を設置されている方は先ほどのシュミレーションでは正確な試算ができないです。
これは中国電力が太陽光発電による自家消費分(売電せずに昼間発電した電気を自宅で利用した分)は計測できないからです。
太陽光発電は天候に左右されるリスクはありますが、日中発電した電気を自家消費に回して電気を買う量を減らすことに大きなメリットがあります。
災害や停電など、長時間電気が使えない際に非常用コンセントを利用してスマホの充電ができるなど利用価値が大きいです。
蓄電池が付いていてもシュミレーションできる?
こちらは最近多く質問を受ける内容で、蓄電池を設置した場合でも契約変更シュミレーションは試算できないです。
蓄電池は太陽光発電で作られた電気や、深夜電力など安い時間帯の電気を貯めることで、電気代が高い時間帯に蓄電池から電気を使ったり、災害時に電気を使えるようにするものです。
太陽光発電が設置されている方に蓄電池を設置するため、先ほど「太陽光発電設置邸はシュミレーションできる?」でお伝えしたように自家消費分の計測ができないことが理由となります。
太陽光発電、蓄電池を設置されている場合は、多くの電気代を自給自足でカバーされている方が多いです。
シュミレーションで試算はできませんが、こちらの方は給湯器(エコキュートの場合)や食洗機、洗濯機などを日中利用するように変更するだけで節電できることが多いです。
是非一度試してみてください。
他の電力会社に乗り換えはどうか?
乗り換える際のポイントは乗り換え先の料金の安さと料金メニューが従量電灯型と市場連動型どちらなのかを確認するようにしましょう。
従量電灯型:電気料金の単価が固定された基本料金と使用量によって電気料金が変わるメニューのこと
- メリット:電気料金が一定、価格変動のリスク回避
- デメリット:市場価格が下がっても、電気料金は下がらない
市場連動型:電気料金の単価が市場価格と連動して変動するメニューのこと
*市場価格とは、「一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)」から電力を仕入れ、需要と供給で価格変動する電気料金の取引価格のこと
- メリット:市場価格が下がれば、電気料金も安くなる
- デメリット:価格変動のリスクを受けやすい
料金の安さだけで選んではダメなのね。
現在のところ、中国電力では市場連動型は取り扱っておりません。
電力自由化で他社に乗り換える場合は、上記料金メニューの確認と各メリット、デメリットや特徴を理解した上で検討するようにしましょう。
まとめ
最後にこの記事の重要な部分をまとめます。
- 電気料金は、①基本料金(最低料金)②電力量料金③託送料金④燃料費調整額⑤再生可能エネルギー発電促進賦課金の要素で構成されている
- 電気代を安くする方法は、①節電する②電気料金メニューを変更する
→おすすめは電気料金メニューを変更する - 中国電力HPより「ずっとクラブ会員」であれば、「契約変更シュミレーション」より試算が可能
- 「契約変更シュミレーション」は太陽光発電や蓄電池が設置されている方は詳細な試算ができないので注意(自家消費が計測できない為)
- 電力会社を他社へ乗り換える場合は、安さよりも料金メニュー(従量電灯型か市場連動型)に注意